人の体はだいたい60%位が水分です。その内訳として、40%位が細胞内の水であり、20%位が細胞の外の水(例:リンパ液など)になっています。

食べ物と異なり、水分が9-12%程度失われると命に関わる状態になってきます。こうした理由から水分補給は、健康においてとても大切になります。

運動を行う人達にとっては、水分補給が重要であるということは、ある意味常識となっていますが、この部分について今回は勉強していきたいと思います。

運動中は、エネルギーの消費が数倍から数十倍になるため、熱が高まります。

体の熱を冷まして一定の体温に維持しておくためには、体の表面から水分を蒸発させて、その時に熱を奪う方法が有効で、「汗をかくこと」として知られています。

しかし、発汗は前述した通り、脱水状態を引き起こします。

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安静時と運動時の水分状態

運動をしていない時は、約60%は排尿、約35%は呼吸や発汗により水分は失われます。

運動をしている時は、体温が高まり、上述した通り発汗による体温調整のために、脱水症状を起こしやすくなります。これは、温度の高い環境で運動をする際にはさらに懸念されるべきこととなります。

喉が渇いたと感じる時は、大体2%の水分が失われた時だと言われています。水分は、まずは細胞間(細胞の外)から失われていきますが、脱水が進行すると、細胞内の水分も枯渇していきます。

脱水状態が起こると、血液が不足していきます。これは体表と筋肉への血液の供給が下がることを意味します。血流の低下を賄うために、心拍数が増加しがちです。心臓というポンプをフル活動させることで、血液を末端まで運ぼうとします。脱水状態は、温度(体温・気温)が過度に高い状態だと深刻になりがちです。温度が高いと、体表への血流を増加させなくてはならないため、心臓への負担がかかりがちだからです。

汗を掻くような運動をする場合は、温度調整にも注意をはらうべきです。(図1 参照)

脱水状態のパフォーマンスへの影響

有酸素状態の運動や、持久力が必要とされる運動において、脱水状態や体温の上昇は著しい悪影響を与えます。(図2) 水分においては、3%以上が失われると持久力が落ちると言われています。これが、体温が上がった状態での脱水状態であれば、2%ほどの脱水で10%ほど持久力が低下するという報告もあります。他の研究によると、1.8%の脱水状態で31%も疲労を感じる速度が高まったとの報告もあります。なぜ、このような差が生まれたかを考えると、運動を行う前に既に利尿作用などで軽い脱水状態にある方が、運動中に発汗などによって脱水状態になりつつも、水分補給をする機会がないよりはマシだということが示唆されています。

まとめると・・・持久力に関しては、運動中に水分補給を行うことと、体温上昇を抑えることが重要であると分かります。さらに、運動前にも脱水状態を避けておくことができればベストだと言えるでしょう。

一方で、無酸素状態の運動に関しては、脱水状態であっても大体40秒までであればパフォーマンス自体が落ちる可能性は低いと言われています。ただし、それ以上の時間、運動を続けていくとパフォーマンスは落ちていくことが分かっています。また、100m走などのような競技ではなく、バスケットボールやサッカーなどの瞬間的に無酸素状態で行うスポーツが、数十分続くような競技においては、脱水がパフォーマンスに与える影響はあまり分かっていません。しかし、バスケットボールの研究においては、シュートの精度が脱水状態だと8%ほど落ちたとの報告もあります。

水分補給について

脱水症状は、純粋な水分に加えて様々な電解質が失われていきます。

まずは、運動の2時間前に500ml程度の水分補給をしておくことが推奨されています。これによって、余分に水分を取ってしまった場合でも、利尿などにより運動開始時には良い水分状態を保つことができます。

次に、運動中は定期的に水分補給を行うように心がけます。これは、喉が渇いていなくても、実行する必要があります。また、補給する水分の温度は可能であれば15度~22度にしておくことが望ましいとされています。

以上、運動を行う際は、水分補給には気を付けるようにしましょう。今回お話した通り、脱水状態と体温の上昇に関しては、密接な関係があります。温度と運動の関係についても、また詳細に述べていきたいと思います。

最後に・・・水分補給は運動時には非常に大切になります。酸素の次に、水分が生命の維持に重要であると考えられています。運動をする際には、様々な怪我をするリスクもあります。捻挫や転倒に始まり、関節炎など長期的な故障も考えていく必要があります。バイオメカニクスのテクノロジーに基づくISEALインソールは、「世界で最もイノベーティブな新しいケア商品」として、ロンドンにて3年連続で受賞しています。運動時に、ぜひご活用ください。

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文責:Dr Hanatsu Nagano

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